肥前杜氏の手造り純米酒

 地酒の店・酒仙境みつる


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老後に悔いをのこさない

松尾酒造場が蔵を構える西有田は、黒髪山系と国見山系に囲まれた盆地のような地

形です。そのため昼夜の寒暖差が大きく、引き締まった味の酒米ができ、冬の冷え込

みも酒造りには最適です。杜氏の間で「宮の松は寝ていても良い酒ができる」などと

言われ、私にも名醸蔵のイメージがありました。



前任蔵の馬場酒造の仕込水は、肥前耶馬渓と称される能古見峡の岩間から湧き出

す水で、飲むと味のある美味しい水(硬度4.5)でした。こちらの「龍門の清水」(硬度

2.5)は、それよりも味の少ない軟水です。そのために発酵もゆるやかになりキメの細

かいやわらかな酒になると思います。


   

 
松尾酒造場に来て11年の歳月が流れましたが、私共の酒を飲んでくださった方から「

この酒は優しいね!」と言われたことが何回もあります。利き酒用語に「やさしい」とい

う言葉があったのかと驚くと共にとても印象に残っています。酒が単に美味しいとか

美味しくないの範疇に止まらず、人の心象にまで及ぶのなら、これからは是非そうい

う酒を造りたいと思うようになりました。



現在、私は61歳、人並みに健康であればあと10年は酒を造りたいと思っています。

しかし、10年なんてあっという間に過ぎて行くのではないでしょうか。そんなおり、から

つ塾という民間の学び舎で『史料で読み解く虹の松原一揆の実像』という講義を受け

て深い感銘を覚えました。「老後に悔いを残さない。世の中の間違ったところが大嫌

い」とした富田才治という郷土の先人の生き様に触れた帰路、心に期するものがあり

ました。今、清酒業界は良い時代ではありません。これを何とかしたい。業界のため

に何かをして終わりたいと強く思いました。

 
     

若い頃、宮城県の酒蔵に四年間お世話になった私にとって、東日本大震災はあまり

にも残酷で悲しいものであり、日本経済に及ぼす影響も計り知れません。不況から

抜け切らない清酒業界は35年間も右肩下がりを続けており、私の杜氏人生は、日

本人のアルコール消費量に占める清酒の割合が最下位まで落ち込んでいく過程そ

のものでありました。私も回りの人もどれだけ辛酸を嘗め尽くしたことか・・・。

 

あるがままを受けとめるということは心を落ち着かせる手段です。すると次が見えてき

ました。今、私がしなければいけないことは、長引く不況の壁を突き破るような、新た

な日本酒の可能性の扉を開くことだと己に言い聞かせました。こうしてこの冬の酒造

りは始まりました。肥前の蔵人が丹精を込めた『宮の松』をこれからも宜しくお願いし

ます。

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