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2008年10月7日(火曜日)


ゆく川の流れ

流門峡のせせらぎ鉢植えの白い朝顔
ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。

よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたる

ためしなし。

世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。

たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争える、高き、卑しき、人のす

まひは、世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、

昔ありし家はまれなり。

あるいは去年焼けて今年作れり。あるいは大家滅びて小家となる。

住む人もこれに同じ。

所も変わらず、人も多かれど、いにしへに見し人は、二、三十人が中

に、わづかにひとりふたりなり。朝に死に、夕べに生まるるならひ、た

だ水のあわにぞ似たりける。

知らず、生まれ死ぬるひと、いづかたより来たりて、いづかたへか去

る。

また知らず、仮の宿り、たがためにか心を悩まし、何によりてか目を喜

ばしむる。その、あるじとすみかと、無常を争うさま、いはば朝顔の露

に異ならず。

あるいは露落ちて花残れり。残るといへども朝日に枯れぬ。あるいは

花しぼみて露なほきえず。消えずといへども夕べを待つことなし。
               −方丈記―「日本古典文学大系」による


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